くるまの旅、くるまの生活


ここ一年くらい車で仕事をしながら旅をしている。
車で寝て、車で食事して、車で本を読んで、多くの時間を車で過ごしながら、毎日のように移動を繰り返し、日本国内の広い範囲を回っている。
色々な場所で、その土地の唄を聴き、その土地の人としゃべり、気持ち良い場所を散歩し、腹が減ったら何か食べて、静かな場所を探して寝る。そんな感じだ。

去年の3月に会社を辞めて東京を出た。
次の家を決めずに部屋を解約したので、手で持てない持ちものは全部処分した。
年季の入った古いミニバンを安く買い、生活できるように少し改造を加えた。
改造と言っても大掛かりなことは何もしていない。一つはサブバッテリーを積んで、走行充電ができるようにしたこと、もう一つは運転席の後ろの一列の席を取り外したことだ。そのスペースにホームセンターで買った収納ケースとデスクを設置した。
買ってすぐにホームセンターの駐車場でダンボールを開けて設置させてもらった。
収納ケースには僕の生活必需品が全部入っていて、デスクでは仕事をしたり食事をとったりすることが出来る。

寝床は、助手席の後ろの席とそのまた後ろの席をバタンと倒すと細長いフラットに近いベッドが出来るので、そこにマットを敷いて寝る。寝心地はベッドとそんなに変わらない。
寒くないか?とよく聞かれるが、寝袋があるし、寒かったら着込めばいいだけなので問題ない。
寒さよりも暑さのほうが実は辛くて、真夏の平地なんて寝られたもんじゃないから、夏場は標高の高いところにいくか、数日以上同じ場所に滞在する場合は宿をとることが多い。

あとは小型の冷蔵庫を積んでいるのと、IHクッキングヒーターとか、電子ケトルも積んでいて、ちょっとした料理ならできる。フライパンや食器、調味料なんかも一通り積んでいる。
食事は健康に直結するので気を使いたいところだが、生ゴミや汚れ物が出るのはなるべく避けたいので、結局パンやバナナ等の果物、チーズ、プチトマトなど、調理が必要ないものを中心に食べることがどうしても多くなってしまう。
栄養が偏らなければなんでもいいので、各社から出ている完全食を試したりもしたが、味がいいものにまだ巡り合っていない。

この生活をしてみて気づいたのが、引っ越しが楽だということ。
時々出先で一週間〜数ヶ月の中期滞在をすることがあるのだが、引っ越しに30分もかからない。車の中の荷物を必要なだけ滞在する部屋に一人でポンポン移すだけですぐに新生活が始まる。
これまで引っ越しというと、引越し業者数社に見積もりを頼んで、字間をかけて梱包して、ガタイのいい人達が数人がかりで2tトラックに運んでっていう感じだったので、あまりの手軽さに笑ってしまう。

あとはネットの便利さを改めて感じている。
海の上とかじゃない限り常時にネットに繋がっている状態なので、Googleマップを立ち上げておけばどんな辺鄙な場所に行っても迷わないし、腹減ったから近くにスーパーないかなとか、汗かいたから近くに温泉ないかなとか、このあたりで一番安いガソリンスタンドはどこだろうとか、そういったことを行った先々で瞬時に調べることができる。
本が読みたければKindleで一瞬で手に入るし、映画を見たければオンデマンドで見れる。最近はYoutubeを楽しむ機会が増えてきた。
いい時代だなと思う。

今のところ危険を感じるような体験は一度もない。のんびりしたものだ。日本って治安いいなぁと思う。危険がせまったら移動すればいいだけなので、とくに心配もしていない。
車の旅はとても自由だ。知らない土地の知らないスーパーで安くなった寿司とか買って、堤防に腰掛けて誰もいない海に夕日が落ちるのを眺めながら食ったりするのは最高に気分がいい。これ以上にうまい食べ物なんかあるんだろうかといつも思う。

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